夜逃げして、新しい生活が始まった。
父から解放された。
父は私達の居場所も知らないし、調べることも出来ない。
私は、バイト、予備校、自動車教習所と毎日忙しかった。
新しい生活は、楽だった。
夜中に起されることもないし、暴力や罵声に怯えることもない。
でも…、2週間が過ぎた頃…。
自動車教習所に父がやってきた。
久しぶりに見る父は…老け込んでいて、ガリガリに痩せていた。
私は、つかまる。ヤバイ!
と思って逃げようとしたら…父が土下座をして「ごめんなさい…」と謝ってきた。
人目もあるので、外に出て話しを聞いた。
「夜逃げされてから、眠れない。本当に悪かった。戻ってきてとはいわないけど、謝りたかった。電話番号だけでも教えて欲しい。。。お母さんにも謝りたい。。。」
と父は言った。
私は信じられなかった。
あの父が、白髪になって、痩せこけて、謝っている…。
信じられない光景だった。
「酒を止める。」
とも言っていた。
私は、「電話番号は教えられない。そのかわり、お母さんに電話させるから帰って欲しい。」と伝えた。
父は涙を流しながら、何度も謝っていた。
でも、信用できなかった。
家の近くまで送るといわれたが、アパートがばれるのが怖くて断った。
その夜、母は父に電話をかけた。
何を話したかは、知らないけど、泣いていた。
それから、毎晩、父に電話をかけていた。
母は、父の事が気になってしかたがない様子だった。
同時に、自分達の存在の大きさを知り満足した様子でもあった。
父と連絡するようになって、私達は父のいる家に顔を出すようになった。
そのころ、父は毎日アルバムを見たり、日記を書いていた。
○月×日、家族が会いに来た…
というような内容だった。
お酒も飲まずに、本当に反省していた。
たまに会いに行く日々が続いた、ある日。
父が自殺未遂をした。
精神科にかかっていたみたいで、睡眠薬を多量服用した。
それを機に、私達は父の家に戻った。
それから一年は、お酒を飲まなかった。
暴れることもなかった。
家族で外食したり、普通な家庭になった。
家も父が暴れた形跡がイヤだといい、新しく立て直すことになった。
新築の2件目の家。3階建ての庭が広い家に引っ越した。
母の思い通りに作った家。
新しい家に引っ越してから、すぐに…
再び、父はお酒を飲みはじめるようになった。
仕事が上手くいってなかったらしい。
そして、また暴れるようになった。
…つづく。
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